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「業界研究をしましょう」と言われても何をすれば良いかわからなかった
文系の大学4年生だった。就職活動の時期になって「まず業界研究から」という話は何度も聞いていたが、「業界研究」が何を指していて、何をどうやればいいのかが本当に分からなかった。
「とりあえず色々調べてみよう」と思ってGoogleで「業界研究 やり方」と検索した。記事はたくさん出てきたが、「四季報を見ましょう」「OB訪問をしましょう」「業界地図を買いましょう」という一文が並んでいるだけで、具体的に何をどう見て、どこから理解していけばいいのかが書いていなかった。
業界地図は大学の生協で買った。開いてみると、会社の名前と数字が並んでいるページが続くだけで、これを見て「業界を理解した」という感覚に全くならなかった。「会社があることはわかった、でも何が面白くて何を軸に業界を選べばいいのかが全然わからない」という状態が2週間続いた。
四季報と業界地図の使い方を教えてもらうまで
就活支援をしているNPOのワークショップに参加したとき、担当の社会人に「業界地図の何ページを見て何を読み取ればいいですか」と聞いた。具体的すぎる質問かと思ったが、担当者は丁寧に答えてくれた。
業界地図の使い方として教わったのは「業界マップを見てプレイヤーの位置関係を把握する」ことだった。たとえば銀行業界のページを開くと、メガバンク・地方銀行・ネット銀行という分類があって、各社の売上高や従業員数が書かれている。これを見て「大手3社でシェアの多くを占めているのか」「新興のネット銀行が伸びているのか」という構図を頭に入れることが最初のステップだという話だった。
四季報は個別企業の詳細情報を調べるためのものだと教わった。業界地図で興味を持った業界の主要企業を業界地図で絞り込んで、その企業を四季報で調べる、という使い方が効率的だと言われた。四季報では売上・営業利益の推移、採用人数、平均年収、事業の概要などが確認できる。
OB訪問が一番リアルな情報を教えてくれた
業界研究の中で一番「理解が深まった」と感じたのはOB訪問だった。書籍やウェブの情報は公式的な内容が多くて、実際に働いている人の話とは温度感が違う。
OB訪問のアポを取った方法は2つ。大学のキャリアセンターが管理しているOBリスト(在学生向けに公開されているもの)と、Wantedly経由で社会人に連絡を取ることだ。Wantedlyは主にスタートアップや中小企業の社員と連絡が取りやすく、大企業はキャリアセンター経由の方がスムーズだった。
一番印象に残っているOB訪問は、大手広告代理店に勤めている人から聞いた話だった。「広告業界はかっこいい」というイメージを持って訪問したが、実際の話を聞くと「クライアントワークの厳しさ」「休日対応の多さ」「制作会社との調整が仕事の大半」という現実が出てきた。それまで「広告業界でクリエイティブな仕事をしたい」と思っていた気持ちが、訪問後に「本当にこれが向いているか」という疑問に変わった。
OB訪問で聞くべきことは事前に考えておいた方が良い。「実際の1日のスケジュールを教えてください」「この仕事で大変なのはどういうときですか」「学生の頃こうしておけばよかったと思うことはありますか」という質問は、ほぼどの業界でも実のある答えが返ってきた。
会社説明会の使い方
会社説明会は業界研究よりも「企業研究」のフェーズで使うものだと思っていたが、同じ業界の複数社の説明会を連続して聞くと業界研究にも使えることがわかった。
同じ業界の5社の説明会を同じ週に入れると、各社が「強みとして語ること」の違いが見えてくる。A社は「技術力」を強調して、B社は「お客様との関係」を強調して、C社は「グローバルな展開」を強調していれば、その違い自体が業界の中でどんな競争が起きているかのヒントになる。
説明会でメモするべきなのは事業内容だけでなく、「この会社で働いている人がどんな顔をしているか」という雰囲気も含めた観察だと感じた。説明担当の社員が質問に答えるとき、楽しそうか・疲弊しているかという印象は確かに読み取れる。
実際に調べた5業界の比較
最終的に志望する業界を3つに絞るまでに、5つの業界を一定の深さで調べた。それぞれの業界について感じた特徴を正直に書く。
金融(銀行・証券):安定感と規模が大きい反面、業務が縦割りで異動が多い。デジタル化の波でビジネスモデルが変わりつつある。OB訪問で「最初の数年は窓口や支店営業」という話を多く聞いた。安定を求める人向け。
IT・コンサルティング:成長速度が早く、年収水準も高め。入社後の裁量が他業界より大きいと感じた。ただ選考が難しく、ES・面接での論理的思考の確認が厳しい。競争が好きな人向け。
メーカー(消費財):自分の仕事が具体的な製品になって世に出るという満足感がある。ブランドマーケティングに携わりたい人が多く集まっている。海外事業に関われるかどうかは会社と職種による。モノを作ることに興味がある人向け。
広告・メディア:クリエイティブなイメージがあるが、実際は調整業務の比重が高い。残業が多い会社が多い。「広告がかっこいい」というイメージだけで入ると入社後のギャップが大きそうな業界。自己演出が得意な人向け。
人材・教育:人の転機に関わる仕事で、社会的なやりがいを感じやすい。ただ離職率が高い会社も多く、KPI管理の厳しさを訴えるOBが多かった。人と話すのが好きな人向けだが、体力も必要。
業界研究で大事だと気づいたこと
業界研究をやってきてわかったのは、「完璧に理解してから動く」は無理で、「動きながら理解していく」が実態だということだ。
最初に業界を決めてから研究を深めるのではなく、広く浅く調べながら「もっと知りたい」と感じる業界を絞っていくやり方の方が、途中で全部やり直す無駄がなかった。業界地図で全体を眺めて、気になる業界の説明会に3〜4社行って、その中で「もっと聞きたい」と思ったらOB訪問をする、という順番が自分には合っていた。
最終的に絞った業界は、「自分がOB訪問で楽しい時間を過ごせた業界」だった。働いている人から話を聞くのが楽しいと感じる業界は、実際に入ったときも楽しい可能性が高い。それだけシンプルな基準で良いと思っている。
